お客様との出会いから見えてきた、本当に似合うスーツとは

こんにちは、OTOKO Style Lab代表の中根です。
今日は、私がオーダースーツ職人として大切にしている考え方と、印象深いお客様との出会いについてお話ししたいと思います。

お客様との最初の出会い

K様は、社会保険労務士の48歳の方でした。初めてお会いした時の言葉が今でも印象に残っています。

「今までずっと、無難なスーツしか着てこなかったんです。でも、最近どうも物足りなさを感じていて。年齢的にも、このままでいいのかなって考えるようになりました。自分らしさを表現できるスーツ、それでいて品格のあるものを着てみたいんです」

この言葉には、長年のビジネスマンとしての経験と、新しい自分を見つけたいという願いが込められていました。

私が感じ取ったこと

K様との会話を重ねる中で、いくつかの重要なポイントが見えてきました。

まず、K様は非常に誠実で温かみのある方でした。取引先との商談では信頼関係を大切にされ、若手の育成にも熱心に取り組まれている。そんな人柄が伝わってきました。

また、趣味でクラシック音楽を聴かれ、万年筆コレクションをお持ちとのこと。こだわりと審美眼をお持ちの方だと感じました。

新しい提案へ

そこで私は、グレーのストライプのスリーピーススーツをご提案させていただきました。生地は、イタリア・ビエラ地区の老舗ウールメーカー「LORO PIANA(ロロ・ピアーナ)」の、しなやかさと品格を併せ持つスーパー130'sを選びました。

「えっ、そんな柄、私に着こなせるでしょうか…」

最初は戸惑いの表情を浮かべられたK様。しかし、K様の落ち着いた雰囲気や明るい人柄を拝見していて、この柄がきっとお似合いになると確信していました。

デザインへのこだわり

スーツのデザインは、クラシカルなシルエットをベースにしながらも、いくつかの個性的なアレンジを加えました。

ラペルは、やや幅広の(ノッチドラペル)を採用。ベストは襟をつけることで威厳と品格が演出されます。

ジャケットの肩パッドは通常よりもやや薄めに設定し、リラックスした印象に。これは、K様の親しみやすい人柄を表現するためです。

襟元には、K様の趣味である万年筆をイメージした繊細なステッチをダブルでさりげなくあしらいました。遠目からは見えない細部へのこだわりが、着る人の自信となります。

「中根さん、正直最初は不安でした。でも、これは本当に素晴らしい。こんな自分もありなんですね。なぜだか、とても自然に感じるんです」

この言葉に、私も胸が熱くなりました。

約1ヶ月後に完成したスーツ。K様が試着された時の表情は、今でも忘れられません。

嬉しい変化の声

納品から1ヶ月後、K様から嬉しいご報告をいただきました。

「取引先での商談の成約率が明らかに上がったんです。お客様から"今日は素敵なスーツですね"と話しかけられることも増えて、会話が自然と弾むようになりました。若手社員からも"Kさん、かっこいいっす!"って言われるようになって(笑)。スーツのおかげで、自分自身も前向きになれている気がします」

スーツに込める想い

このエピソードは、私がオーダースーツ職人として大切にしていることを改めて確認する機会となりました。

スーツは単なる装いではありません。着る人の個性を引き出し、可能性を広げる道具となるべきものです。

そのためには、お客様のライフスタイルや価値観をしっかりと理解すること。表面的な採寸や流行の追従ではなく、その方の本質を見抜き、最適な一着を提案することが重要です。

おわりに

私が目指すのは、単にフィットの良いスーツを作ることではありません。お客様の新しい一面を引き出し、その魅力を最大限に表現できるパートナーでありたいと考えています。

「自分に似合うスーツって、どんなものだろう?」
「今までと違う自分を表現してみたい」
「かっこいいスーツを着てみたいけれど、似合うか不安…」

そんな思いをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。きっと、新しい自分との出会いがあるはずです。

あなただけの特別な一着を、一緒に作り上げていきましょう。

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